まぼろしの「ひめます刺身」
この時期の栃木県の魚では「鮎(あゆ)」が有名です。那珂川、鬼怒川、渡良瀬川の3水系に22の漁業協同組合があり、栃木県は天然鮎の漁獲高では全国No.1を誇ります。いずれ鮎もご紹介致しますが、今回紹介するのは中禅寺湖の綺麗な冷水で育った天然の「ひめます」です。
日本列島で生き残ったベニザケの子孫
ひめますと聞いて、どんな魚かわかる人は少ないと思います。身の赤い「ベニザケ」ならご存知でしょうか。「陸封型のベニサケがひめます」です。サケ科の魚は、一般的には、川で孵化した稚魚が川を下り海を回遊して成長し、親魚となって生まれた川に産卵のために戻り遡って産卵し、一生を終えます。ところが、いろいろな事情で海に下ることなく、あるいはダムなどで下れなくて湖やダム湖などで海に見たてて成長し、その湖に注ぐ河川で産卵をする生息環境で生育する場合を「陸封型」と言います。北海道のチミケップ湖と阿寒湖、本州では十和田湖と中禅寺湖でしかお目にかかれない魚です。
鮎や虹鱒(にじます)と違ってひめますは養殖が難しく、漁獲解禁期間は4月~9月のみです。お邪魔したのは中禅寺湖立木観音そばの「レーク岡甚(おかじん)」日光市中宮祠2482 ℡0288-55-0046 です。こちらでは、レンタルボートも多数保持しており、多くの釣り人が利用しているお店です。また、日光で唯一、天然のひめますを一年中味わえる(漁獲期間以外は冷凍)お店でもあります。場所柄、観光客の利用も多いのですが、釣り人を中心に常連客や地元の方の利用も多いです。
ひめます料理はムニエル、フライ、唐揚げ等がありますが、中心は何と言っても塩焼きです。天然ものしかないひめますは貴重な魚ですが、レーク岡甚では大きなひめますを切り身ではなく、まるごと1匹をそのままの姿で提供しています。写真のように大きな魚がまるまる1匹です。小さいもの(というよりも、普通のサイズ)しかない場合には、なんと2匹つけてくれるそうです。骨離れも良く、香ばしい塩焼きの風味と淡白な旨味を楽しめます。
レーク岡甚では、貴重なひめますが塩焼きであれば一年中(漁獲期間以外は冷凍)楽しめるのですが、この期間しか楽しめない貴重な楽しみ方が刺身です。その日に獲れた(釣れた)ひめますをすばやくおろして料理する刺身は、毎日楽しめるわけではなく、獲れた時だけの限定品です。メニューにもありません。どうしても楽しみたい場合には事前に予約して魚を釣ってもらわねばなりません。かなり限定的な料理となります。身は写真のようにピンクがかった色をしています。食感は始めコリッとしていてきめ細かく、舌の上にのせるとスッと溶ける感じで絶品です。淡水の魚とはとても思えません。中禅寺湖で自然のプランクトンを食べて育った天然もののみが出せる味わいです。
実は取材をさせていただいたこの日もあいにく刺身にできる釣りたてのひめますはなし。残念・・・と思っていたところ、釣りから上がってきたグループが釣ったひめますを店主にさばいてもらうところでした。特別に少々頂戴する(食する)ことができました。レーク岡甚では、中禅寺湖畔最多の貸ボートを有しており、多くの釣り人が利用しています。釣った魚を持ち帰る方も多いのですが、一方で不要な(釣れ過ぎた)分は レーク岡甚で購入しています。
淡白な夏のひめますにあわせる日本酒は「開華 辛口旨酒」。旨・辛・酸が絶妙に調和した、開華ならではのやわらかな旨味のある辛口酒です。
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